【脚本】サイコパス 第五話「妥協」

〇女のオフィス 外観

 

〇同 オフィス内

   女、デスクで仕事をしている。

オフィスの隅で立ち話をする清掃のおばさん、ヒソヒソ声で女の同僚の若い男に、

おばさん「ね、佐藤さんって何で辞めたか知ってる?」

男「部長すか?確か、親の介護っすよ。部長、兄弟もいないし、独身だしで……」

   おばさん、険しそうに、

おばさん「それが違うのよ……」

   おばさん、顔を寄せて、

おばさん「……あのね、パワハラ!」

男「パワハラ?部長、一体何したんすか?」

おばさん「それがね、『飛び降りろ』って言ったんですって!」

男「『飛び降りろ』???」

おばさん「そ、何も、『きよみずの舞台から』『飛び降りろ』って言ったんですって!」

男「指定すか?どこすかそれ?」

おばさん「意味不明よね~。あの人、精神的にどうかしてたんじゃないかしら…」

男「きっとそうっすね!大分キモいっすね!セクハラっす!」

おばさん「ね、卑猥よね~。」

 

〇自宅 外観(夜7時頃)

 

〇同 居間

   主人公、茶を飲んでいると、誰かが帰宅する音。

   女、居間に入って、

女「こんばんはー。」

主人公「こんばんは。お帰りなさい。」

   女、買ってきたコンビニのサラダを冷蔵庫に入れながら、

女「ただいまですー。」

主人公「〇〇さんは、何をされている方なんですか?」

女「私はSEです。」

主人公「へえ!大学では何の勉強を?」

女「社会学です。」

主人公「えっ!じゃあ理系の素質もあったんですね!」

女「いえ、大学時代はプログラミングは一切できませんでした。」

主人公「えっ、じゃあなぜ?……そんなに自分に自信があったんですか?」

女「そういうわけじゃないですけど…」

主人公「そんなんでいいんですか?……もっと、自分を大事にするべきなんじゃないですか?」

女「……『自分を大事にする』ってどういうことですか?金銭的に?性的に?」

主人公「いや……何ていうか……何ていうかですよ……」

【脚本】サイコパス 第四話「分かりにくいとやりずらい」

〇自宅 主人公の部屋

主人公、部屋の説明をしている。

主人公「ここが物置です。自由に使って下さい。僕がかなり本置いちゃってますけど。邪魔だったら重ねたりしちゃってください。」

女「はい……」

主人公「で、こっちが、」

   自室の前に移動して、

主人公「ここが僕の部屋です。」

   主人公、戸を開けて中に入る。

女「お邪魔します……」

   女も後に続く。

主人公「ベランダがあるんですけど、」

   主人公、部屋を突っ切って窓の方へ。

   窓を開ける。

主人公「このベランダが、僕の部屋からしか行けないんです。ベランダに出たいときは、ノックしてもらえれば、あの、僕が部屋にいるときは。一言掛けてもらえれば全然好きに出てください。で、ノックしても返事がなければ、勝手に入ってもらって構いません。」

女「分かりました。」

主人公「あ、でも、それでベランダに出てて、僕が帰ってきて、それで知らなくて、部屋にいるときに外から入ってきたら、知らないでいたら、あの、びっくりするので、ベランダに居て、僕が帰ってきたなって思ったら……」

女「ふふっ」

主人公「あ、すみません、説明意味わからないですよね。つまり……」

   主人公、頭をかく。

女「すみません、全然大丈夫です。」

主人公「まあ、つまりあまり気にしないでください。」

女「はい。ありがとうございます。」

【脚本】サイコパス 第三話「だけの簡単なお仕事です」

〇自宅近くのコンビニ 外観(夜)

主人公、コンビニに入る。入店の音。

店員「いらっしゃいませー。」

   主人公、適当に物色した後、飲み物コーナーのでかいお茶パックを手に取り、レジ待機列に並ぶ。

 

〇同 レジ

ババア「……もうちょっと早くできない?」

   凍り付く店内の客の表情。レジの方を見やり戸惑う主人公。

アルバイト女性「……善処します!」

   あっけにとられるババア。笑いをこらえる店内。

 

〇同

   主人公、会計を終え、コンビニを出る。

店員「ありがとうございましたー。」

   主人公、自宅へ帰る道。

 

〇自宅 外観

 

〇同 玄関

   主人公、玄関の引き戸を引き、少し大きな声で、

主人公「ただいま戻りましたー……」

   居間から話し声。

主人公、靴を脱いで玄関を上がり、居間へ向かう。

   主人公、居間へののれんをくぐり、

主人公「ただいまも……」

   居間には先程の女性と大家さんの姿。

主人公「えっと……」

大家さん「あ、おかえりなさい。ええっと、言ってなかった?今日から新しく入る子よ。」

   女、会釈。

主人公「あ……聞いてない……」

【脚本】サイコパス 第二話「ご縁」

〇自宅近くの中華料理屋 外観(夜)

 

〇同 店内

おばさん「で、今日はどうだったの。」

主人公、チャーハンをほうばりながら、

主人公「いい感じです。今回はうまくいく気がするんですよね。」

   おばさん、呆れながら、

おばさん「気がするじゃなくて、実際の出来栄えはどうだったの?」

主人公「もちろんバッチリですよ。今日のところは、僕と相性がいいと思うんです。だから『ご縁』もあるはずです。」

別の客「すみません、チーズ餃子ください。」

   おばさん、軽く返事をし、厨房に戻りながら、

おばさん「そう言って前のもダメだったじゃない。」

   食べる手を止めて、厨房に向かってやや声を大きめに、

主人公「『ご縁』がないのは仕方ないんです。僕がどうこうできるものじゃないんですよ。」

   主人公、チャーハンをたいらげる。

    そこへ女が入店。テーブル席に着席。

おばさん「いらっしゃいませー。」

   おばさん、お冷を出しながら、

おばさん「本日の定食は麻婆丼ね。」

女「あ、すみません、生姜焼きで。」

   おばさん、厨房の奥の方に向かって、威勢よく、

おばさん「はい生姜焼きー。」

   おじさん、厨房の奥から立ち上がって、ボソッと、

おじさん「生姜焼き……」

主人公、勢いよく厨房の方を向いて、

主人公「おじさん、いたの!」

   おじさん、作業しつつ厨房から乗り出して、ふてくされたように、

おじさん「いたよ。さっきからずっといたよ。」

   おばさん、厨房に入って、冷たく、

おばさん「いいから早く。」

   おじさん、渋々、

おじさん「はいはいはい……はい、生姜焼き。」

   おじさん、生姜焼きを差し出す。

   おじさん、厨房から出てきて自慢げに、

おじさん「早いでしょう。チンしたみたいに早いでしょう。」

   主人公、お冷を飲みながら、真面目に、

主人公「チンしたんですか。」

   おじさん、主人公の方を向いて、

おじさん「してないから。」

   おじさん、二人に向かって、

おじさん「うちは『早いうまい』の〇〇〇だから。でも心配ご無用。早さも値段に入ってるからね。」

女「入ってるんだ。」

   おじさん、二カッと笑う。

おじさん「でも安い。それでも安い。」

   おじさん、感心するように頷く。

   女、黙って生姜焼きを食べ始める。

   主人公、机に五百円玉を置き、席を立って、

主人公「ごちそうさまです。」

   主人公、店を出る。

   おばさん、厨房から乗り出し、入口の方に向かって、

おばさん「仕事決まらなくても安くしないからねー!全く。」

 

〇自宅 外観(朝)

 

〇同 主人公の部屋

   主人公、布団で寝ているところに、スマホにメール通知が来る。

   その音で起き、スマホを手に取る。

   操作後、スマホ画面アップ。

メール内容「〇〇様 先日は弊社の就職面接にお越しいただきありがとうございました。残念ながら、今回はご縁がなかったということとご理解いただければ幸いです。」

主人公「ご縁なかったかー。」

   ネコが寄ってくる。

   主人公、ネコをなでる。

【脚本】サイコパス 第一話「狂ってるのは君の方」

〇某駅正面改札(地上)

   スーツを着た男女が大勢出てくる。

 

〇某企業ビル 外観

 

〇同 ロビー

   「就職面接はこちら」の張り紙。

 

〇同 一室・個人面接

 

〇同 一室

主人公「社会は善意でできている、って思うんです。」

審査員の一人「はあ……」   

審査員一同、怪訝な表情をする。

主人公「御社の経営理念に「思いやりからはじまるビジネス」とありますよね。お金儲けよりもまず思いやりがなければ話にならない。私はその経営理念に共感して御社を志望しました。」

審査員一同、やっと納得する。

審査員の一人「ああ、それはもちろんそうだ。大前提だ。だけど、「思いやり」から先は、どうするつもりかね。君ならそれをどうビジネスにつなげるんだい。」

主人公「いえ、僕は「思いやり」から先は何も。」

審査員一同、呆気にとられる。

主人公「僕は、御社の「思いやり」担当をやりたいんです。今の時代、分業したもん勝ちでしょう。」

主人公、共感を請うような表情。

 

主人公「ありがとうございました。」

   主人公、お辞儀をして部屋を出る。

全審査員の手元を順にアップ。皆それぞれ、エントリーシートの名前に大きくバツ印を書いていく。

 

〇同 正面入り口

フーッと大きく息を吐いて肩の力を抜いてから、大きく頷いて、

主人公「ヨシッ!」

主人公、力強く歩き出す。